不動産売却時の仲介手数料
株式会社住まいエージェントです。
弊社には、横浜・湘南エリアを中心に10年以上の不動産取引経験を持つスタッフが従事しております。
不動産売却時には、当然ですが売却金額がそのまま手元に入る訳ではありません。
売却金額から諸費用を差し引いた金額が手元に入ることになります。
諸費用の中でも大きい金額となるのが、依頼先の不動産会社に支払う仲介手数料です。
この記事では、仲介手数料の計算方法や、仲介手数料額の早見表、仲介手数料を安く抑える方法、仲介手数料の支払い時期などについて解説しております。
目次
仲介手数料を支払う理由
仲介手数料は、依頼先の不動産会社へ売却時の仲介業務の報酬として発生するものです。
不動産会社が行う仲介業務は、
- 物件の調査
- 広告宣伝活動
- 購入希望者探し
- 他の不動産会社への紹介
- お問い合わせ対応、取りまとめ
- 依頼主へ活動状況の報告
- 案内、案内の対応
- 契約条件の取りまとめ
- 契約書類の作成
- 契約
- 決済
- その他斡旋(ホームインスペクション、抵当権抹消や、測量、建物解体等が必要な場合)
など多岐にわたります。
取引の仲介に入るにあたって、仲介責任も生じております。
不動産会社に仲介してもらわず、個人間で不動産売買の取引を行うことも不可能ではありません。
契約前後にトラブルが発生した際にもご自身で全て対応しないといけないというリスクもあります。
仲介手数料の計算方法
宅地建物取引業法上、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限度額が定められております。
仲介手数料の上限度額は次のように定められています。
仲介手数料の上限度額
売却金額 | 仲介手数料 |
200万円以下の部分 | 5%+消費税10% |
200万円超え400万円以下の部分 | 4%+消費税10% |
400万円を超える部分 | 3%+消費税10% |
上記のように、売却金額を【200万円以下の部分】【200万円超え400万円以下の部分】【400万円を超える部分】の3つに分けてそれぞれを計算して、それを合計するという計算方法になります。
例えば、不動産を4,000万円で売却した場合の仲介手数料上限額は次のような計算で求めます。
まずは売却金額の4,000万円を、
【200万円(200万円以下の部分)】
【200万円(200万円超え400万円以下の部分)】
【3,600万円(400万円を超える部分)】
に分けて、それぞれの割合をかけます。
200万円×5%=10万円
200万円×4%=8万円
3,600万円×3%=108万円
それぞれを合計して消費税の10%を含めます。
(10万円+8万円+108万円)+10%=138.6万円
以上の計算で、不動産を4,000万円で売却した場合の仲介手数料上限額は138万6千円であるということが求められます。
仲介手数料の速算式
仲介手数料を算出するために、いちいち上記の計算をするのは大変なので、わかりやすく速算式にしたものが次の表の通りとなります。
売却金額 | 仲介手数料 |
200万円以下の場合 | (売却金額×5%)+消費税10% |
200万円超え400万円以下の場合 | (売却金額×4%+2万円)+消費税10% |
400万円を超える場合 | (売却金額×3%+6万円)+消費税10% |
不動産を4,000万円で売却したときの仲介手数料の計算を、上の表に当てはめると、
(4,000万円×3%+6万円)+10%=138.6万円
と、簡単に求めることが出来ます。
仲介手数料の早見表
上の計算をするのも面倒臭いかと思いますので、
売却金額ごとに仲介手数料がいくら発生するのか、早見表を作成しました。
実際にいくらで売却出来るのか分からないため目安を知っておきたい、という場合にも
下記の早見表を参考にしてください。
売却金額 | 仲介手数料※消費税込(10%) |
300万円 | 154,000円 |
500万円 | 231,000円 |
800万円 | 330,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
2,500万円 | 891,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
3,500万円 | 1,221,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
4,500万円 | 1,551,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
5,500万円 | 1,881,000円 |
6,000万円 | 2,046,000円 |
6,500万円 | 2,211,000円 |
7,000万円 | 2,376,000円 |
8,000万円 | 2,706,000円 |
9,000万円 | 3,036,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
仲介手数料を安く抑えるには
1. 仲介手数料の安い不動産会社を選ぶ
これまで解説してきた仲介手数料の計算に関しては、あくまでも上限額の求め方です。
不動産会社が受け取る仲介手数料の金額は、上限額を超えなければ、各不動産会社が自由に決められることになっています。
大手不動産会社を始めとして多くの不動産会社は、仲介手数料を上限額で設定していますが、
ここ数年で仲介手数料を割り引きしている会社も増えてきています。
仲介手数料を安く抑えたいのであれば、仲介手数料を割り引きしている不動産会社に売却を依頼しましょう。
しかしながら、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶのが良いのかというと、そういうことではありません。
不動産売却は良くも悪くも、依頼先の不動産会社、更に言うと営業担当者の力量によって左右されます。
A社に依頼していれば4,500万円で売却出来たはずの物件が、
B社に依頼したことにより4,200万円の金額での売却になってしまった。
といった事態も起こります。そうすると、結果として仲介手数料の割り引き分以上の損失になってしまいます。
一方で、仲介手数料を割り引している不動産会社でも、
取り引き実績が豊富で、優秀な営業担当が勤めている会社も多くあります。
不動産売却を依頼する際には、複数の不動産会社の担当者とやりとりを行い、
信頼出来ると思える会社・営業担当者を見つけて、その中で仲介手数料も安く設定している会社があるならそこに依頼する、
というのがベストな選択なのではないでしょうか。
2. 仲介手数料の値引きを依頼する
仲介手数料の割り引きを謳っていない不動産会社へ売却を依頼する場合にも、
次のような状況であれば仲介手数料を値引きしてもらえる場合があります。
- 親族や友人の紹介で不動産会社の営業担当を選んだ
- 売却する不動産が「人気物件」である
売却する不動産が客観的に考えて「人気物件」である場合は、仲介手数料を安くしてでも依頼を受けようとする会社が増えます。
価格設定や、立地、築年数、物件の希少性、需要が高い等、人気とされる物件であれば、早期売却や広告を行った際の集客が見込めるためです。
仲介手数料は、基本的には媒介契約を結ぶ際に決定します。
仲介手数料の値引きを依頼する場合には、媒介契約までにお願いしてみるようにしましょう。
3. 専任・専属専任媒介契約を選ぶ
仲介手数料の割り引きを謳っている会社でも、媒介契約の形態が「一般媒介契約」の場合では割引対象とならないことが多いです。
仲介手数料の割引に限らず、不動産会社が独自で設けているサービス(瑕疵保証や買取保証など)も、一般媒介契約の場合には割引対象としていない会社がほとんどです。
不動産会社と媒介契約を結ぶ際ににきちんと確認をしましょう。
仲介手数料を出来るだけ安く、さらにサービスも受けたい、といった場合には、一般媒介契約の選択肢は外した方が良いでしょう。
4. 自分で買い手(一般の方)を見つけて、直接取り引きする
不動産会社に仲介してもらわずに、自身で直接購入者を見つけて売買の取り引きを行う場合には仲介手数料は必要ありません。
通称、このような売買の方法を「自己発見取り引き」と言います。
不動産会社と媒介契約を結んでいる場合あっても、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」であれば「自己発見取り引き」は可能です。
しかしながら、仲介手数料を支払う理由に記載した不動産会社が行う仲介業務を全て自身で行わなければならないということや、
前述の通り契約前後にトラブルが発生した際にもご自身で全て対応しないといけないというリスクもあります。
5. 自分で買取業者を見つけて、直接取り引きする
自身で、不動産の買取を行っている業者を見つけて、直接取り引きをする場合にも、仲介手数料は必要ありません。
買い手が一般の方である場合と異なり、買い手となる買取業社は免許を有している不動産業者であるため、
売買取り引きに関することは買取業社に主導となって行ってもらえます。
また、トラブル発生のリスクも抑えられます。
しかしながら、買取金額は、相場金額の6〜7割程の金額になってしまうケースがほとんどです。
ここからは、業社買取について深掘りして説明します。
買取業社が提示する金額は、会社ごとに結構な差が生じる場合が多いです。
その理由は、「得意な物件であるか」ということや、
「得意なエリアであるか」ということ、
「決算時期や在庫状況などから積極的に買取を行なっている時期なのか」といった、
様々な要因によって左右されるためです。
高い買取金額を提示してもらえる会社を探すとなると、
出来る限り多くの買取業社を見つけることが重要です。
しかしながら、自身で買取業者を見つけるのは、多くても10社程が限界だと思います。
不動産会社に仲介を依頼して買取業社を見つけてもらう場合には、会社や営業担当にもよりますが、
100〜200社の買取業社に金額提示を依頼してもらえるケースもあります。
買取金額には、物件や価格帯にもよりますが、300万円や400万円の差が生まれることもあります。
これまで解説してきたように、仲介手数料を抑えようとすることに力を注ぐあまり、
結局は売却金額が低くなり損をしてしまうケースや、トラブルが発生してしまうケースがあります。
結論としては、仲介手数料の安さばかりを考えるのではなく、
いかに良い条件で不動産を売却するか、仲介手数料を支払ってでも信頼出来る不動産会社を探すことが重要です。
仲介手数料の支払い時期
売買契約が成立すると、依頼先の不動産会社へ仲介手数料の支払い義務が発生します。
仲介手数料の支払い時期は売買契約時以降になりますが、不動産会社によって異なります。
基本的には、売却を依頼する「媒介契約」の締結時に、仲介手数料の支払い時期についての説明があります。
多くの不動産会社では、仲介手数料の支払い時期を2回に分けて、売買契約時と決済時に半金ずつお支払いをすることになります。
決済時に全額お支払いとしている会社もあれば、まれに売買契約時に全額お支払いとしている会社もあります。
売買契約時に全額、という場合には、決済前で売却代金が入っていない状態で、手持ち資金から手数料を支払わなければいけないことになるので、必ず事前に確認しておきましょう。
売却不成立だった場合の仲介手数料
仲介手数料はあくまでも成功報酬であるため、売却不成立の際には手数料は発生しません。
売却依頼先を変更する場合や売却活動自体を取りやめる場合には、手数料のお支払い義務はありません。
ただし売却不成立であっても、仲介手数料とは別に費用を支払わなければならないケースもあります。
事前に依頼者が了解をしている場合に限られますが、
「依頼者の、特別な依頼により発生した広告費や交通費」に関しては、
売却不成立であっても費用が発生することになります。
その他に不動産売却時にかかる費用
不動産売却時には仲介手数料の他にも、
- 抵当権抹消費用
- 測量費
- 家財等撤去費用
- 建物解体費用
- 契約時印紙代
- 引越し代
などの諸費用が発生します。
所有者様の状況や物件によって、発生する費用と発生しない費用があります。
不動産売却時の諸費用に関しては、
こちらの記事で詳しく解説しております。
2021.04.29
2024.12.14
不動産売却時に発生する費用
不動産業界での取引経験が豊富な住まいエージェントが、不動産売却時に発生する諸費用について解説しております。
最後に
仲介手数料は、不動産売却時の諸費用の中でも大きい金額となります。
不動産売却を行う際には、仲介手数料がいくら掛かることになり、その支払い時期はいつになるのか、事前に確認しておきましょう。